「フォロイング」 | 『イット・フォローズ』制作陣という宣伝文句の罠|原題「Ghost House」

「ワタベ」が迫ってくる「フォロイング」
「フォロイング」
斬新なアイデアが面白かった「イット・フォローズ」のプロデューサーが手掛けてるらしい?ショッキング・ホラー見てきました。

作品紹介

予告


あらすじ

タイで非業の死を遂げた日本人女性の霊が巻き起こす恐怖を描いたホラー。旅行でバンコクにやって来たジュリーと恋人ジムは、同じホテルに宿泊していた青年ロバートに誘われ、霊がまつられているという祠(ほこら)を見に行くことに。しかしジュリーが祠の中に置かれていた像を思わず手に取ったことから、彼女だけに見える醜い老婆の霊が解き放たれてしまう。2人は現地ガイドのゴゴの協力で森から抜け出したものの、それ以来、ジュリーは神出鬼没の老婆の霊に襲われるようになり……。

 

所感

『イット・フォローズ』制作陣という宣伝文句の罠

斬新な設定でホラー界をざわつかせたローバジェット映画『イット・フォローズ』。その制作陣が手掛けたショッキング・ホラーと聞けば、当然また新しい恐怖のアイデアを期待して足を運ぶわけですが…蓋を開けてみれば、新しいアイデアは皆無!そしてまったく怖くありません。

「イット・フォローズ」
「イット・フォローズ」

実はホラー映画界隈において、大ヒット作の『プロデューサー陣が贈る』という宣伝文句は、客を呼ぶための定番トラップ。実際に本作のスタッフクレジットを隅々まで見返しても、あの名作と被っている同じ名前が見当たりません。一体誰が共通しているのか、それとも配給会社による巧妙なアピール術の範囲内なのか。毎回この手の煽り文句に騙されてしまうのは、ホラー映画ファンの悲しい性ですね。

舞台はタイなのに日本の幽霊?謎の怨霊ワタベの正体

本作はアメリカとタイの合作映画です。異国情緒あふれるタイが舞台となれば、現地の不気味な土着信仰や、ピー(タイの精霊やオバケの総称)のようなアジア特有のジメッとした怪異を期待するのが筋というもの。しかし、満を持して登場するのはなぜか『日本人の女幽霊』でした。

海外のホラー作品では、未だに『リング』の貞子や『呪怨』の伽椰子といったJホラーの怨霊ビジュアルが恐怖のアイコンとして根強い人気を誇っています。本作もその影響をモロに受けており、また出来の悪いJホラーのオマージュ路線か…と残念に思いつつ見ていると、その女幽霊の名前がなんと『ワタベ』。

いやいや、下の名前ではなく苗字なのか!と思わず心の中でツッコミを入れてしまいました。海外のクリエイターが日本人の名前の響きだけで適当にチョイスした感が否めず、恐怖よりもシュールさが勝ってしまいます。

サム・ライミ監督作『スペル』を彷彿とさせるが…

物語の骨子は、サム・ライミ監督が手掛けた名作ホラー『スペル』(原題:Drag Me To Hell)を強烈に思い出させます。あちらも理不尽なババア幽霊の呪いにつきまとわれるお話でした。

しかし『スペル』がホラー映画として高く評価されているのは、サム・ライミ特有のギャグすれすれの過剰な演出と、ジェットコースターのようなテンポの良さがあったからこそ。残念ながら本作には、そういった突き抜けたセンスがありません。

特に終盤、もろもろの展開を経て怨霊ワタベは物理的な実体を伴って現実化するのですが、こうなってしまえばただの不気味なお婆さんです。映画『IT/イット』のクライマックスでボスのペニーワイズをタコ殴りするシーンのように、登場人物全員で物理攻撃を仕掛ければ勝てそうな気がしてしまいました。

総評:ホラーへの愛が感じられない安直なストーリー

全体を通して、とにかく安直なストーリー展開が目についてしまい、制作側からの『ホラー映画への愛』があまり感じられない残念な仕上がりでした。予算が少なくても、斬新なアイデアと熱量で勝負するのがB級ホラーの最大の醍醐味であるはず。次回作を作るのであれば、もう少し設定を練り込んで、ホラーファンをしっかり怖がらせてほしいものです


データ

映像データ

原題 Ghost House
製作年 2017年
製作国 アメリカ・タイ合作
上映時間 100分

スタッフ

監督 リッチ・ラグズデール
製作 ケビン・ラグズデール
製作総指揮 デイモン・ヒリン
      ルーク・ダニエルズ
      ブランドン・ホーガン
      アラン・パオ
原案 ケビン・ラグズデール
   リッチ・ラグズデール
脚本 ケビン・オサリバン

キャスト

スカウト・テイラー=コンプトン
ジェームズ・ランドリー・ヘバート
マーク・ブーン・ジュニア
エラナ・クラウズ

 

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