「タービュランス 絶空16,000フィート」|大ヒット作の看板にまたもや騙される!?|原題「Turbulence」

作品紹介

予告



あらすじ

敏腕CEOのザックは、流産の悲しみを抱える妻エミーとの関係を修復するため、夫婦でイタリア・ドロミーティ山脈を横断する熱気球ツアーに参加する。そこへ謎の女性ジュリアが加わり、3人の乗客を乗せた熱気球での飛行が始まるが、上空でジュリアが突然「前日にザックと密会した」とザックの不貞を暴露する。ザックは否定するが疑念が渦巻き、ジュリアは突然ナイフを突きつけてくる。争いの最中に操縦士が転落し、気球は制御不能に陥ってしまう。無線も途絶え、酸素の薄い高度1万6000フィートに達した気球は乱気流や暴風にさらされ、3人は逃げ場のない空中で極限の選択を迫られていく。

所感

期待値とのギャップ:大ヒット作の看板にまたもや騙される!?

映画ファンあるあるの「あの〇〇の製作陣が贈る!」という宣伝文句。今回も見事に釣られてしまいました。

本作は、地上600メートルの鉄塔サバイバルを描き大ヒットした傑作スリラー『FALL/フォール』のプロデューサーと脚本陣が参加しているとのこと。てっきり同じ監督の新作かと思いきや、メガホンを取ったのは全く別の方でした。映画業界では昔からよくある、製作総指揮などに有名クリエイターの名前をドカンと載せて注目を集めるお決まりのパターンですね。

高所スリラーのキモはテンポ感!まさかの「手に汗握らない」展開

逃げ場のない高所でのシチュエーションスリラー(いわゆるソリッド・シチュエーションもの)ということで、複雑な人間ドラマよりも『FALL』のような純粋な高所の恐怖、手に汗握るスリルを期待して鑑賞しました。

しかし、結果から言うと大ハズレ。何が違うのか上手く言語化するのは難しいですが、とにかく決定的に手に汗を握りません。

一番のネックは、導入部分の長さです。B級パニック・スリラーにおける男女のゴタゴタはあくまでスパイス。観客としてはサクッと要点だけまとめて、さっさと空高く飛び立ってほしいところなのですが、なかなか気球に乗ってくれません。いざ上空で事件が起き始めてからも、なんだか全体的に冗長な印象を受けました。

高度1万6000フィートの痴話喧嘩が招く思わぬ副作用

そもそも気球に乗っている登場人物は4人だけ。ということは、サバイバル映画における「退場(死)」の恐怖のピークはMAXでも4回しか訪れません。限られた空間での事件なので、そこまで長い尺は必要ないはずなのですが、緊迫したシーンの合間にどうでもいい痴話喧嘩が挟まります。

これが正直、かなりの苦痛でした。スリラー映画において緊張と緩和の「緩急」は不可欠ですが、本作はとにかく「緩」が長すぎます。

ちなみに、タイトルの「16,000フィート」はメートルに換算すると約4,800メートル。富士山の山頂よりもはるかに高く、酸素濃度は地上の半分程度になります。この高度では人間は低酸素症に陥り、強い眠気や判断力の低下を引き起こすと言われています。もしかすると、映画を観ながら猛烈な眠気に襲われたのは、スクリーンの中の彼らと見事にシンクロしてしまった結果なのかもしれません。

サバイバル映画に求める「極限状態の人間ドラマ」とは

個人的な見解ですが、逃げ場のない危険地帯を舞台にした物語では、登場人物をあっさりと退場させてしまうのは比較的簡単です。

だからこそ、最初は疑心暗鬼になっていた人間同士が、死の恐怖を前にして徐々にわだかまりを忘れ、生き残るために結束していく。そんな展開を取り入れたほうが、極限状態での人間ドラマとして作品の満足度は格段に上がるのではないかと感じました。

おわりに:本家『FALL2』への期待

などと辛口の感想を書いていたら、なんと本家『FALL』の続編となる『FALL2』の公開情報が飛び込んできました!

このモヤモヤした気持ちを晴らすためにも、やっぱりそちらは劇場へ観に行くことになりそうです。手に汗握る本物の高所恐怖体験は、おとなしく本家に期待して待つことにしましょう。

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