映画日記「ウインド・リバー」 原題:Wind River



2015年にみた、むちゃくちゃ面白かった映画「ボーダーライン」の脚本家「テイラー・シェリダン」監督の「ウインド・リバー」見てきました!

作品紹介

予告


あらすじ

ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで、女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンター、コリー・ランバートに協力を求め、共に事件の真相を追うが……。

所感

期待しすぎた理由は「ボーダーライン」

『ウィンド・リバー』を観る前、
私の頭の中には完全に「ボーダーライン」がありました。

全体にただようヒリヒリ感、
常に不安を煽り続ける空気、
そして終盤で観客を突き放すような冷酷などんでん返し。

――あれを、どうしても期待してしまった。

結果から言うと、
本作はそういうタイプの映画ではありませんでした。

監督ではなく「脚本家」だったという事実

そもそもの勘違いはここ。

『ウィンド・リバー』の監督は、
「ボーダーライン」の監督ではなく、
脚本家だったテイラー・シェリダン。

なるほど、
空気感やテーマ性がどこか似ているのはそのせいか、と納得。

ただし、演出の方向性はかなり違います。
この時点で、自分が勝手にハードルを上げすぎていたことを自覚しました。

どうしても被って見えるキャラクター配置

それでも連想してしまうのが、登場人物の構図。

部外者として現地に放り込まれるFBI捜査官
ジェーン(エリザベス・オルセン)

土地を知り尽くした現地側のプロ
コリー(ジェレミー・レナー)

この組み合わせは、どうしても
「ボーダーライン」の
ケイト(エミリー・ブラント)と
アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)を思い出してしまいます。

物語の骨子も、どこか重なって見えるのは否めません。

物語が動くのが、とにかく遅い

決定的に違うのはテンポ。

物語が大きく展開するのがかなり終盤で、
それまでは正直、少したるい。

こちらは勝手に、

町ぐるみの闇
組織的な腐敗
国家レベルの巨悪

そんなものを期待していたので、
実際の対立構造が小粒に感じられ、拍子抜けしました。

ネイティブアメリカンのテーマが響きにくかった理由

本作の根底にあるテーマは、
ネイティブアメリカンの人権問題です。

今もなお軽視され、見過ごされ続けている現実を描こうとしています。

ただ個人的には、
そこがいまいち強く伝わってこなかった。

犯人側に、差別心ゆえの明確な動機が感じにくい。
被害者がネイティブアメリカンだけではない。

結果として、
差別の構造よりも、
ただ愚かな人間が起こした悲劇に見えてしまいました。

日本人ゆえの、かなり主観的な感覚

これは完全に私個人の主観ですが、

男性のネイティブアメリカンは、
顔立ちや雰囲気からそれらしさを感じやすい。

一方で、
女性のネイティブアメリカンは、
衣装などの記号がないと
アジア系との違いが分かりにくいと感じることがあります。

特に女優さんのような美形だと、なおさら。

この点も、
テーマが肌感覚で伝わりにくかった一因かもしれません。

終盤の銃撃戦だけは文句なし

とはいえ。

終盤の銃撃戦は圧巻。

ここだけは、
これは「ボーダーライン」の血だ、と感じました。

一切の容赦がなく、
ヒロイズムもなく、
撃たれたら終わり。

この冷酷さと緊張感だけで、
この映画には十分な価値があります。

どうでもいいけど、アベンジャーズ要素

ストーリーとはまったく関係ありませんが、

ジェレミー・レナー
エリザベス・オルセン

というアベンジャーズ組の共演は、
マーベルファンにはちょっと嬉しいポイント。

しかも元々コリー役は
クリス・パイン予定だったとか。

そう考えると、
ベニチオ・デル・トロもマーベルに出てましたね。

総評:刺さる人には刺さる一本

というわけで、

展開は遅め。
期待すると肩透かし。
テーマはやや伝わりにくい。

正直、万人向けではありません。

ただし、

「ボーダーライン」が好き
無慈悲な銃撃戦が見たい
雪と静寂に包まれた陰鬱な空気が好き

このあたりにピンと来る人なら、
一度は観てみてもいい一本だと思います。

少なくとも私は、
終盤だけで「観てよかった」と思えました。

――期待値調整、大事。


   

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