CGではなく3Dプリンターを駆使して作られた
「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」
見てきました!
作品紹介
予告
あらすじ
三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという、不思議な力を持つ少年・クボ。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父にねらわれ、クボを助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、更なる闇の刺客によって母さえも失くしてしまう。父母の仇を討つ旅に出たクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知り――。かつて母と父に何があったのか?三味線に隠された秘密とは? 祖父である〈月の帝〉と相対したとき、全ては明らかとなる――。
Amazonより引用
所感
3Dプリンターが魅せるストップモーションアニメの革新
本作を語る上で外せないのが、伝統的なストップモーション(コマ撮り)技術と、最先端テクノロジーである3Dプリンターの融合です。
かつて、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」などの時代は、クレイ(粘土)やシリコンを使って手作業で人形の表情を少しずつ変えていました。気の遠くなるような職人技ですが、どうしても作れる表情の数には限界がありました。
しかし、本作を手掛けたスタジオ「ライカ」は、キャラクターの表情をデジタルでモデリングし、それを3Dプリンターで大量に出力するというブレイクスルーを果たしました。その数、なんと数万通り以上。この技術革新により、実写映画の俳優顔負けの、細やかでリアルな感情表現が可能になったのです。
CGで何でも描けるこの時代に、あえてデジタルモデルを一度3Dプリンターで現実の物体として出力し、それを再び一コマずつ手作業で撮影するという狂気的なこだわり。このデジタルとアナログのハイブリッドが生み出す独特の質感と躍動感あるカメラワークは、まさに画面から作り手の熱量(狂気?)が溢れ出てくるような感動を覚えます。
かぐや姫をベースにした日本への深いリスペクト
ストーリーの根底には、日本の昔話であるかぐや姫(竹取物語)のモチーフが美しく組み込まれています。
月からの使者や、感情を持たない絶対的な存在としての月の帝といった設定は、まさに日本文学への深いリスペクトの現れです。ハリウッド映画にありがちな、記号化されたおかしな日本描写ではなく、衣装の質感や街並み、そして劇中に登場する折り紙や三味線の音色に至るまで、徹底的にリサーチされた和の美学が貫かれています。
どこか切なくも温かい日本の怪談や民話の情緒を残しつつ、現代的なハリウッドのアドベンチャー要素を破綻なく融合させた脚本は見事というほかありません。子供向けのアニメーションと侮るなかれ、親子の絆や生と死、記憶の本質をテーマにした、大人の鑑賞にこそ耐えうる重厚なファンタジー大作に仕上がっています。
鬼才トラヴィス・ナイト監督の圧倒的な手腕
監督を務めたトラヴィス・ナイトは、過去に「コララインとボタンの魔女」
の制作にも深く携わってきた、ストップモーション界の申し子です。
彼の演出力は今やアニメの世界にとどまらず、のちにトランスフォーマーシリーズのスピンオフ作品である「バンブルビー」の監督に大抜擢されたことからも、その実力の高さが伺えます。
職人たちの執念が詰まった映像美と、一瞬も飽きさせないドラマチックな展開。映画ファンであれば、制作背景を知ることでさらに何倍も深く味わえる傑作です。
データ
監督
- トラヴィス・ナイト
声の出演
- シャーリーズ・セロン
- アート・パーキンソン
- マシュー・マコノヒー
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