「遊星よりの物体X ファーストコンタクト」|84年版「遊星からの物体X」への完璧な前日譚|原題:「The Thing」

「遊星よりの物体X:ファーストコンタクト」みてきました!

作品紹介

予告


所感

ネタバレ前提でも面白い!84年版「遊星からの物体X」への完璧な前日譚

原題自体は「The Thing」で、あのジョン・カーペンター監督が手掛けた1984年の傑作SFホラーと同名なんですよね。なので一瞬リメイク作品なのかな?と思いきや、邦題の副題「ファーストコンタクト」が示すように、設定的には84年版の直前に起こった惨劇を描く前日譚(プリクエル)的な作品なんです。

だとすると、「あー、あの全滅したノルウェー観測隊のお話だから、ラストは全員死んじゃうのねー」と、見る前から盛大にネタバレしてる感じがするじゃないですか。でも、そんなネタバレ状態を吹き飛ばすくらい、本作はめっちゃ面白いんです!

密室の疑心暗鬼と、お約束のぐちょぐちょクリーチャー

ストーリーの基本的な流れは、いい意味で84年版と一緒です。極寒の南極基地という完全に閉鎖された空間で、人間の姿に完璧に擬態するエイリアンが紛れ込み、誰が本物で誰が乗っ取られたのか全くわからない絶望的な状況。徐々に疑心暗鬼に陥り、精神をすり減らしていく隊員達。

そして満を持して登場する、あのぐちょぐちょでグロテスクなエイリアンの姿!このお約束の展開がたまらないんですよね。

異なる点を挙げるとすれば、前作はむさ苦しいオッサンばかりの男臭ーい話でしたが、今回は女性が二人混じっています。だからといって、お約束のお色気シーンなんてものは一切ありません!極限状態のサバイバルにそんな余裕はないってことですね。

予算の違いを跳ね返す圧倒的な完成度と原作リスペクト

設定だけでご飯が何杯もイケちゃうくらい大好物なジャンルなんですが、何より本作からは84年版への強烈なリスペクトがビンビン感じられるんです。前作の冒頭に登場した「斧が刺さったドア」や「くり抜かれた氷のブロック」など、見事なまでに辻褄を合わせた緻密なセット作りと伏線回収はお見事の一言。展開も全くダレないし、映画の尺もちょうどええくらいにまとまっています。

一緒に見に行った知人に至っては、先日見た大作「アメージングスパイダーマン」より面白かったと大絶賛しておりました。いくらなんでもスパイダーマンがかわいそうやろ…とか思ったりもしたんですが、気になって製作費を調べてみました。

・遊星からの物体X ファーストコンタクト:約3,800万ドル
・アメイジング・スパイダーマン:約2億6,200万ドル

やはり予算の桁が一つ違いますよね。それでも、これだけの満足度を叩き出す本作のポテンシャルには驚かされます。

ただ、84年版を見ていないと、一番大事なラストのオチやそこにつながる細かい伏線の面白さが半減してしまうと思うので、未見の人は絶対に前作を先に見てから(内容を忘れてる人もぜひ復習してから!)見る事を強くおすすめします。

僕の性格を歪ませた?トラウマ級の「物体X」体験談

さて、この84年版「遊星からの物体X」ですが、僕にとっては個人的にもすごく感慨深い作品だったりします。

当時、子供向けの分厚い本「コロタン文庫」などがたくさん出版されていて、「UFO大百科」や「怪奇大辞典」といった怪獣や宇宙人を特集した本が多々ありました。

僕はそういうオカルトチックな本ばかり読み漁る、ちょっと気持ちの悪い子供だったのですが…。

そんな愛読書のなかに、あろうことか勝手にリドリー・スコット監督のエイリアンと物体Xを戦わせる「エイリアンVS物体X」というトンデモ企画の挿絵があったんです。エイリアンの方はテレビで見て知っていたものの、物体Xの方は挿絵を見てもぐちょぐちょ過ぎて一体何なのかさっぱりわからず、そらもー、映画を見てみたくてたまらなくなりました。

しかし、劇場公開はとっくに終わっており、当時は手軽にビデオをレンタルできる時代でもありません。ひたすらテレビの洋画劇場で放映されるのを待つ日々。そしてやっとこさ放送された念願の日!…親に「気持ち悪い」というただそれだけの理由で、無情にもチャンネルを変えられてしまったという、つらく悲しい思い出があります。(当時我が家は、北斗の拳すら見せてくれないような厳格な家庭でした)

この理不尽な状況に僕の性格は大きく歪み、反抗期もここから始まったような気がしてなりません。個人的な経験論ですが、こういう教育方針は絶対良くないと思うんですよね。子供には好きなだけ好きな事をやらせて、さっさと卒業させないと、未だに初期のファミコンをやったり、UFOや宇宙人に興奮する立派なオッサンになっちゃうぞと。

その後、中学生くらいになって自分の部屋にテレビを手に入れ、深夜のテレビ放送をこっそり見れるようになりました。親の足音が聞こえたら寝たふりをしつつ、なんとか無事エンディングまで見終えることができたあの時の感動は、今でも忘れられません。

と同時に、映画自体の「なんちゅー気持ち悪くて、後味の悪い映画や…」という圧倒的な絶望感も、深く記憶に刻み込まれました。

あれ、なんだかほとんど映画の感想じゃなくて「僕と物体X」みたいなノスタルジックな話になっちゃいましたね。まあええか。

蛇足の1本!深夜に見たいモンスターパニック「ザ・グリード」

さて、今回の蛇足のオススメ映画を一本紹介しておきます。

84年版「遊星からの物体X」で、伝説のクリーチャー・デザインを手掛けた特殊メイクの巨匠ロブ・ボッティン。アナログ特撮の神様とも言える彼が創造したクリーチャーが、豪華客船を舞台に大暴れするモンスターパニック映画『ザ・グリード』です。

B級映画のノリでありながら、クリーチャーの造形は一見の価値あり。これもストーリーの筋をすぐ忘れちゃうくらい勢いだけの映画なので、何回でも気楽に見られてオススメです。ぜひ、深夜に一人で楽しんでみてくださいねー。



 

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