
作品紹介
予告
あらすじ
美容師のレイチェルは今日も寝坊。あわてて息子のカイルを学校へ送りながら職場へと向かうが、高速道路は大渋滞。度重なる遅刻に、ついに首となる。最悪の気分のまま下道を走るが、信号待ちで止まると、前の車は青になっても発進しない。クラクションを鳴らすがまだ動かない。イラついたレイチェルが追い越すと、つけてきたドライバーの男が「運転マナーがなっていない」と言う。レイチェルに謝罪を求めるが、彼女は拒絶して車を出す。息子を学校に送り届けたものの、ガソリンスタンドの売店でさっきの男に尾けられていることに気づく。店員は「あおり運転の常習犯よ」と警告。車に戻ったレイチェルはある異変に気付いた。が、時すでに遅し。信じられない狂気の執念に駆り立てられた男の“あおり運転”が、ノンストップで始まるのだった―(出典:)
所感
ラッセル・クロウの怪演!
とにかく――ラッセル・クロウが最高。
あらすじを見ればだいたい分かる通り、ストーリー自体は非常にシンプルです。
昔の映画で言えば『激突(Duel)』や『ヒッチャー』のように、おかしな人物にひたすら追われ続けるだけの映画。
しかし、それゆえに際立つのが……
太ったラッセル・クロウの怪演!
太ったおじさんの恐怖
にっこり笑えばただの優しいおじさん。
けれど一度怒りモードに入ると、目を吊り上げ、執拗に追いかけてくる狂気の存在に早変わり。
「でかいおじさんが大声で怒鳴りながら迫ってくる」――
これ以上の恐怖はなかなかありません。
まさにラッセル・クロウの存在感がすべてを持っていきます。
ラッセル・クロウ変遷うんちく
私の中で「ラッセル・クロウ」といえば、やはり**『グラディエーター』**。
あの頃の精悍な姿は、今作には微塵もありません。

役柄ごとに大きく姿を変える――役者の凄みを改めて感じます。
そして本作は、その振れ幅の極地。
むしろ「ラッセル・クロウそのものを楽しむ映画」と言っても過言ではありません。
(余談ですが、クロウは近年オペラ歌手としても活動しており、その表現力が役の“怒りの声”に活きているとも言われています。)
物語への物足りなさ
ここからは残念な点。
上映時間は約90分とコンパクトでテンポが良いのですが、追う側の心理描写がやや浅く感じました。
冒頭に彼の過去を示すシーンはありますが、掘り下げはほとんどなし。
そのため観客には、彼が単なる「サイコ」にしか映らない部分も。
もし「理不尽な社会と個人的な問題が重なり、“善の部分”が怒りに侵食されていく過程」がもう少し描かれていれば、
『フォーリング・ダウン』のマイケル・ダグラスや、『ジョーカー』のホアキン・フェニックスのように、共感と恐怖が入り混じる複雑さを楽しめたかもしれません。
主人公が冒頭で謝っていれば、もしかすると彼は暴走せず自首したのでは……?
そう思わせるくらいの描写があれば、さらに傑作に近づいたと感じます。
現代に刺さるテーマ
とはいえ――やはりよかった。
ストレス社会に生きる今だからこそ、観るべき映画の一本でしょう。
思えば、私自身は車に乗っていた頃もほとんどクラクションを鳴らさなかったタイプ。
逆に「すぐブーブー鳴らす人」っていますよね。
この映画、まさにそういう人に見てもらいたい。
そして、鳴らされる側の人にはもっとおすすめ!
きっと心底「わかる……」と震えるはずです。
まとめ
『アオラレ』は、ストーリーのシンプルさをラッセル・クロウの怪演で押し切る快作。
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ラッセル・クロウの変貌ぶりを堪能できる
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現代社会のストレスを映す“無敵の人”像に背筋が凍る
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90分という潔さでサクッと観られる
シンプルながら、強烈に印象に残る映画です。
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