映画日記「ゼイカム -到来-」  原題:AWAIT FURTHER INSTRUCTION

「ゼイカム -到来-」
(C)Further Instructions Ltd 2018
「未体験ゾーンの映画たち2019」も中盤にはいってきました。今回もハードルは低めに挑戦!そこを大きくこえての大当たり「ゼイカム -到来-」見てきました!

作品紹介

予告

あらすじ

クリスマスに集まったミルグラム一家は、家族団らんとは程遠い雰囲気の中でそれぞれ眠りにつく。翌朝、長男が家のドアを空けると、黒いメタリックな物質が家を覆っていた。家の中に閉じ込められてしまったことに気づきパニックに陥る中、突然リビングのテレビ画面に「指示があるまで家の中で待機せよ」というテロップが映し出される。家族は一連の出来事を政府の安全対策だと安心して指示に従うが、画面に映し出される指示内容は次第にエスカレート。精神的に追い詰められた彼らに、謎の生命体が襲いかかる。(出典:映画.Com)

所感

「未体験ゾーンの映画たち」の良作

ここんとこ、「ファースト・コンタクト」「アンダー・ザ・シャドウ」と、はずれ感の少ない「未体験ゾーンの映画たち」シリーズ。
毎度、粗削りな作品群の中から「おっ」と思える一本に出会えたときのうれしさは格別ですが、本作はまさにそんな一作でした。

まだ上映期間の中盤ですが、正直これを超えてくる作品はもうないんじゃないかな、と思わせる完成度。
この「未体験ゾーンの映画たち」という枠組みを理解したうえで観に来ている人には、おすすめできる良作です。

低予算×限定空間のシチュエーションホラー

内容は、低予算映画によくある、登場人物も舞台も限定されたシチュエーションホラー。
ですが、設定の使い方がうまい。

登場するのは、
独善的な父、
それに従う気弱な母、
移民差別全開の祖父、
上っ面だけ取り繕いながらも本質的には同じ穴のムジナな馬鹿娘とその夫。

そんな、白人の差別意識が色濃く残る家庭のクリスマスパーティに、久しぶりに帰省したまともな息子と、彼が連れてきたインド人の恋人。

冒頭から祖父の露骨な移民差別発言、それに挑発されて感情的になるインド人の彼女。
楽しい雰囲気は一切なく、開始早々から不穏さ全開です。

正直、自分が主人公の立場だったら、この冒頭の空気で即帰るな……と思いましたが、
「とりあえず寝て、早朝に出よう」
という判断をしたがために、事態は取り返しのつかない方向へ転がり始めます。

「ゲヘナ」との違いがはっきりした一本

狭い場所でのシチュエーションホラー、スリラーと聞いて、同じく今回の「未体験ゾーンの映画たち」で上映されている「ゲヘナ」を思い出した人も多いはず。

限定空間で登場人物たちが破滅に向かってドタバタする、という骨子は似ていますが、
こちらはラストまで眠くならずに観られました。

なぜ「ゲヘナ」はいまいち乗れなくて、「ゼイカム -到来-」は最後まで引き込まれたのか。
その理由は、冒頭の会話でそれぞれのキャラクター性が非常に明確に描かれている点にあると思います。

誰がどういう思想を持ち、どういう判断をしがちな人物なのか。
それが最初に整理されているからこそ、以降の行動がすべて「納得できる」んですよね。

最悪の選択肢を選び続ける緊張感

さらに秀逸なのが、登場人物たちが
「とりうる中で一番悪い選択肢」
を次々と選んでいく構成。

アウト寸前まで追い込まれたところで、誰かがギリギリ踏みとどまる。
そして、また別の誰かが余計な一手を打つ。

この繰り返しがうまくリズムを生み、物語に強弱をつけてくれるため、派手な演出がなくても最後まで飽きずに観られます。

ジャンプスケアで驚かせるタイプではなく、
「うわ、そっち行っちゃうのか……」
という心理的な居心地の悪さを積み重ねていくタイプのホラーです。

雰囲気重視、説明は最小限

先に書いた感想でも触れましたが、本作はSF的な設定や“到来する何か”については深掘りしません。
説明過多を避け、あくまで雰囲気と状況で見せていくスタイル。

そうこの手の作品にありがちな
「説明しすぎない不親切さ」と「観る側に委ねすぎる展開」

そのため、スッキリした答えやカタルシスを求める人には向きませんが、

この割り切りがあるからこそ、低予算ながら一本筋の通った作品になっている印象です。

まとめ

映画「ゼイカム -到来-」は、

・低予算
・限定空間
・キャラクター造形が明確
・差別意識と不穏な空気を絡めたシチュエーションホラー

という、「未体験ゾーンの映画たち」らしさにあった良作。

映画好き以外に強くすすめるタイプではありませんが、
この手のホラーが好きな人、
「アウターゾーン」や「世にも奇妙な物語」的な、嫌な後味と考察余地のある話が好きな人には、刺さる一本だと思います。

「未体験ゾーンの映画たち」シリーズの中でも、印象に残る一本でした。

0 件のコメント :

コメントを投稿