イスラエル産のPOVホラー「エルサレム」見てきました!
作品紹介
予告
あらすじ
1年前に事故で兄を亡くしたサラは、友人のレイチェルと共にニューヨークからイスラエルへと旅行に向かう。
機内で知り合った人類学者のケヴィンに誘われ、「聖なる都」エルサレムに滞在することになる。
そんな中、サラはケヴィンからある言い伝えを聞かせられる。ここエルサレムでは、過去に何度も死者が蘇ったことがあると。
その後ケヴィンの様子はおかしくなり、「エルサレム シンドローム」と診断され地元の病院に監禁される。
そして翌日。この地で最も神聖な日と言われる“贖罪の日"が訪れるが、
突如街の至る所が爆破され、サラたちは軍隊によって旧市街地に隔離されてしまう。
さらに、街には人間ではない異形の者たちの姿が現われ、真の恐怖による聖なる夜が始まる。
そう、3人は聖書の黙示録の渦中に自分たちがいる事を知るのであった。
死者たちが立ち上がり、旧約聖書「サムエル記」に登場するゴリアテが出現、ついに地獄の門が開くのだった! ! !
(AMAZONより引用)
所感
聖地エルサレムで世界の終わり!?設定のロマンと「POVホラー」の宿命
映画「エルサレム」は、三大宗教の聖地エルサレムを舞台に描かれるPOV(疑似ドキュメンタリー)形式の終末黙示録ホラーです。
観光気分で現地に足を踏み入れた若者たちが、宗教的な大混乱とともに“世界の終わり”へ巻き込まれていく……。アイデアやロマンという点においては、間違いなく一目を置きたくなる設定です。
グーグルグラス視点という発明!「なぜカメラを回し続けるのか問題」を回避
本作で最も評価したいポイントは、全編を通して「グーグルグラス(スマートグラス)」の視点で描かれている点です。
POVホラーを観ていると、誰もが一度は「いや、命の危険があるのにいつまでカメラ回してんねん!」とツッコミを入れたくなるもの。しかし、ウェアラブル端末であるスマートグラスなら、装着しているだけで自動的に視界が記録されるため、その長年の疑問が綺麗に解消されます。
顔認証で相手の情報が表示されたり、途中でアプリやゲームが立ち上がったりといった演出も、近未来的なPOV表現として理屈が通っており非常にスマートでした。POVの進化系として、この実験的なチャレンジは素直に評価したいところです。
前半のテンポとキャラ描写が重い……「POVあるある」
斬新な撮影手法に期待が高まる一方で、本編のテンポ感には課題が残ります。特にPOV映画特有の「事件が起きるまでの日常パート」がかなり長めです。
観光風景や若者たちの軽いやり取りが延々と続きますが、後半の展開に効いてくる伏線や設定の深掘りが乏しく、冗長に感じられてしまうのが惜しいところ。恐怖のスイッチが入る爆撃シーンまでの道のりが遠いため、ここを耐えられるかが観客の分かれ目になります。
パニック描写のドタバタ感と「女性の描き方」に漂う古臭さ
いざパニックが始まってからも、基本的には「大声で叫びながら逃げ惑う」シーンの連続です。混乱を表現したいのは理解できるものの、過剰な叫び声とブレの激しい映像が重なり、恐怖よりも疲労感が勝ってしまう場面が見受けられます。
また、非常事態に直面した際に女性キャラクターばかりがパニックに陥るという描写も、ホラー映画の古典的なコピペ感が否めません。リアリティの観点からも、もう少し現代的な工夫が欲しかったところです。
聖地という圧倒的なロケーション勝ち!だからこそ悪目立ちする落差
中盤以降はゾンビ要素を挟みつつ、旧約聖書に登場する巨人「ゴリアテ」や地獄の門が開くといった、スケールの大きい本格的な黙示録ホラーへと変貌します。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地というロケーション自体が持つ宗教的威圧感やイメージの強さは圧倒的で、低予算ながらも画面に独特の説得力を与えることに成功しています。
それだけに、キャラクターの行動理念やストーリー展開の雑さが浮き彫りになってしまい、「素材が良いのにもったいない」という印象を強く残してしまいます。
ラストの回収はあっさり?期待しすぎは厳禁な着地
クライマックスにかけての展開も、この手のB級ホラーにありがちな「うやむやな終わり方」に着地します。
明確なカタルシスや謎解きのスッキリ感を求めていると拍子抜けしてしまうため、最後までノリと雰囲気で駆け抜ける映画だと割り切って鑑賞するのが正解かもしれません。
まとめ:POVマニアなら一見の価値あり!実験的アイデアを楽しむ一作
結論として、万人に手放しでおすすめできる作品ではありません。
しかし、「スマートグラスを使ったPOVの新しい切り口に興味がある」「B級の終末ホラーや都市伝説的な雰囲気が好き」というPOVマニアであれば、一味違う実験作として楽しむ余地は十分にあります。
設定とアイデアの鋭さは本物だけに、少し寛容な心で観るのが一番楽しめる鑑賞スタイルと言えそうです。
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