「ブランカニエべス」|ダークファンタジー期待したけど・・・|原題:Blancanieves

ちょっとさかのぼりますが「ブランカニエべス」を見ました。
丁度十日戎と同時期にみましたが、神社のえべっさんとはまったく関係ありません。

作品紹介

予告

あらすじ

天才闘牛士の娘カルメン。彼女が生まれると同時に母は亡くなり、父は意地悪な継母と再婚。カルメンは邪悪な継母に虐げられる幼少期を過ごす。ある日、継母の策略で命を奪われかけた彼女は、“こびと闘牛士団"の小人たちに救われ、「白雪姫(ブランカニエベス)」という名で彼らとともに見世物巡業の旅に出る。そんな中、女性闘牛士としての才能が開花したカルメンは、行く先々で圧倒的な人気を得るようになるのだが…。
楽天より引用

所感

ダークファンタジーというよりは…?サイレント映画としての独自の魅力

本作は、グリム童話の白雪姫をモチーフにしたダークファンタジーというふれこみ。さらには全編モノクロのサイレント映画ということで、かなり見る人を選ぶ尖った作品です。

ちなみに本作が公開された2012年前後は、フランス映画の『アーティスト』が大ヒットしてアカデミー賞を席巻するなど、現代におけるサイレント映画のちょっとしたリバイバルブームがありました。本作もその流れを汲む、映像と音楽で魅せる野心作と言えます。

ポスターには『パンズ・ラビリンス』に出演していたマリベル・ベルドゥが大きく載っており、ダークファンタジーという謳い文句がつけば、どうしても同系の暗くて渋めなファンタジーを期待してしまいますよね。ただ、実際に見てみるとダーク以前にファンタジー色がかなり薄めでした。フラメンコの音楽や踊りなどの映像美は申し分なかったのですが、ゴリゴリのファンタジーを期待した部分については、少し肩透かしを食らった感があります。

ゴヤ賞受賞も納得!邪悪な久本雅美風のマリベル・ベルドゥが主役級の存在感

今回の作品で、マリベル・ベルドゥはスペインのアカデミー賞にあたる名誉あるゴヤ賞で主演女優賞を獲得したそうです。

素顔の写真を見ると元気でとても綺麗な方なのですが、本作では設定上、林檎を渡す魔女も兼ねる強烈な継母役を熱演しています。例えるなら、久本雅美さんを極限まで邪悪にしたような感じでとにかく怖い。ポスターのビジュアル的にも、もはや白雪姫を差し置いて彼女の方が主役のような扱いになっていますし、それだけ画面を支配する圧倒的なオーラがありました。

Before 「パンズラビリンス」の優しいマリベル・ベルドゥ
After「ブランカニエベス」の邪悪な久本雅美風マリベル・ベルドゥ

白雪姫のモチーフは必要だった?配分と展開のアンバランスさ

タイトルのブランカニエベスというのは、スペイン語でそのまま白雪姫のこと。その題名どおり、小人の闘牛士の一団に命を拾われてからは白雪姫になぞらえた展開になっていきます。

ただ、そこに至るまでの子供時代の描写がかなり長く、なかなか白雪姫っぽくなりません。逆に、白雪姫っぽくなってからは展開が巻きで進み、女闘牛士として活躍するくだりは短くあっけなかったりします。この辺の尺の配分は逆のほうがカタルシスがあったのではないかと思ってしまいました。

実はスペインには古くから女性闘牛士が実在する歴史があり、題材としては非常に面白いんです。しかし、本作は小人が7人ではなかったりと適当な部分があったり、これといった伏線もなくモチーフに乗っかっただけの毒林檎が出てきたりと、ちょっと安易に感じました。せめて子供時代に林檎が大好きだったエピソードでもあれば別ですが、いまいち設定を活かしきれていない印象です。

ハリウッド映画の「47Ronin」を見た時と同じく、無理に有名なおとぎ話になぞらえず、フラメンコを踊る女闘牛士という完全オリジナルストーリーで勝負したほうが、絶対にもっと面白くなったはずです。

賛否両論必至のラスト!あなたは映像美派?それとも物語派?

そして極めつけは、賛否が真っ二つに分かれるであろうラストのオチです。え!そんな感じで終わるの!?という衝撃があり、ネタバレになるので詳しくは言えませんが、見終わった後に他の人がどう感じたか猛烈に気になってレビューをあさりまくってしまいました。

結果は大方の予想通りで、大きく分けると以下の二つの派閥に分かれているようです。

・綺麗な映像とフラメンコの音楽だけで満腹になれる女子派 ・もうちょっと話の構成と演出を頑張ってくれよと突っ込む男子派

どちらの意見も映画の楽しみ方として正しいと思いますが、僕は完全に後者の男子派ですね(別にバッドエンドが嫌いなわけではないですが…)。物語の整合性やカタルシスを求めてしまうあたり、男が「パシフィック・リム」のロボットと怪獣のバトルに無条件ですげー!と熱狂してしまうのと同じような、理屈っぽい性分が出ているのかもしれません。

蛇足の1本

さて蛇足の1本は一度「ダークフェアリー」の回でも紹介済みですが再度。
マリベル・ベルドゥもでている「パンズ・ラビリンス」です。

「パシフィック・リム」のギルレモ監督のこちらの作品は、
ダークファンタジーの代名詞的な作品だと個人的には思っています。

内戦後のスペインに生きる、不遇な境遇の少女のお話で。
現実世界のつらさから、おとぎ話(妄想)の世界に逃げ込んだ彼女が
現実とも妄想ともわからないまま数々の試練をうけついには・・・

という感じのお話なんですが、
なんで再度これを蛇足の一本にしたかというと
スペインと俳優つながりというのもあるのですが
この映画のラストのような含みのあるものに
「ブランカニエビス」のラストもしてほしかったなーと思ったからです。

たぶん、ラストに文句レビュー出してる人は
こういう系のどうとでもとれるラスト求をめてたんじゃないかなーって
勝手に思いました。

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