「ヴィーナス」

作品紹介 

予告

あらすじ

所感

スペイン発ホラーの期待値、その行方

「REC」のジャウマ・バラゲロ監督による作品ということで、ホラーファンとしてはどうしても期待値が上がる一本。あの閉鎖空間でじわじわ追い詰められていく恐怖演出を知っているだけに、今回も何かやってくれるんじゃないかというワクワク感はかなりありました。

そして実際、前半はその期待にしっかり応えてくれます。

不気味なマンションという王道舞台

今回も「REC」と同じくマンションが舞台!

監督の得意とする閉鎖空間ホラーがしっかり活かされています。

物語の序盤は、そのマンションとそこに住む住人たちの描写が中心。

この「なんかヤバそうな場所に迷い込んでしまった感」の演出がとても良い。ジャウマ・バラゲロ監督らしい、湿度のあるじっとりとした不気味さがしっかり効いていて、ここまではかなり好感触。

やっぱりこういう閉鎖的な空間で、じわじわ異変が広がっていく感じは鉄板ですね。

ホラーから一転、バトルアクションへ

中盤以降は一気にテイストが変わって、バトル寄りの展開にシフト。

主人公、ギャング、そして怪しげな邪教集団と、要素だけ見ればかなり面白くなりそうな配置で、いわば三つ巴の混戦に発展しそうな雰囲気はかなり好みの展開です。

ホラーとアクションが混ざるこの感じ、最近のジャンルミックス作品としては王道ながらもワクワクするポイント。

惜しい、三つ巴までいかないもどかしさ

ただ、ここで少し物足りなさも。

せっかく主人公、ギャング、邪教集団と駒が揃っているのに、それぞれがガッツリぶつかり合うところまでいかないのが惜しい。

もう一歩踏み込んで完全な三つ巴のカオスにしてくれれば、一気に突き抜けた作品になった気がするだけに、このあたりはやや不完全燃焼。

クトゥルフ的要素とその粗さ

作品全体には、いわゆるクトゥルフ神話的なコズミックホラーの要素が入ってると思われます。

ただし、この部分は正直やや雑な印象も否めず。設定や描写が断片的で、雰囲気はあるけど深掘りが足りないという感じ。

コズミックホラー特有の「理解できない恐怖」には寄せているものの、もう少し世界観の積み上げがあれば、より説得力が増したはず。

タイトルに回収されるラスト

とはいえ、ラストの描写はなかなか面白い。

タイトルにもつながる要素がここで効いてくる構成になっていて、
この余韻の残し方は嫌いじゃないです。

総評:惜しさ込みで楽しめる一作

クトゥルフ系コズミックホラーに犯罪アクションをミックスした、なかなか野心的な一本。

前半の不気味な空気づくりは良く、後半のジャンル転換も嫌いではない。ただ、そのポテンシャルをすべて出し切れていない印象もあり、全体としてはもう一歩欲しい仕上がり。

とはいえ、しっかり楽しめる要素は揃っていて、トータルで見ればまあまあ満足できる作品でした。

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