作品紹介
予告
あらすじ
大恐慌時代のアメリカ、ショービジネスでの成功を夢見る、野心溢れる青年スタンがたどり着いたのは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座だった。そこで読心術の技を身につけたスタンは、人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器にトップの興行師となるが、その先には想像もつかない闇が待ち受けていた…。
所感
ギレルモ・デル・トロらしい雰囲気がしっかりあって、全体的には楽しめました。ただ、個人的に少し残念だったのは、彼の作品にたびたび登場する独特のクリーチャーが今回は登場しない点です。
本作は「星新一」や「世にも奇妙な物語」のような因果応報的なテイストで、超常的な要素は控えめ。いわば、現実に根差した“長編版ショートショート”といった趣きで、従来のデル・トロ作品とは少し異なる印象を受けました。
その代わりと言っては何ですが、キャスト陣がとにかく濃い。盟友ロン・パールマンはもちろんのこと、『ヘレディタリー』で強烈な母親を演じたトニ・コレット、『ロード・オブ・ザ・リング』のエルフの女王ガラドリエル役で知られるケイト・ブランシェット、さらには『スパイダーマン』のグリーン・ゴブリン役でおなじみのウィレム・デフォーなど、いずれも表情だけで物語るようなクセ者揃い。まさに“香川照之的・顔芸キャスト”たちです。
そのぶん、整った印象の主役とヒロインがやや霞んでしまった感も。特にケイト・ブランシェットの存在感は圧巻で、彼女の不気味さにはゾクッとさせられまし

物語全体としては終始ダークで、冒頭から伏線が張られ、主人公がじわじわと破滅に向かっていく様は見応えがあります。ただ正直、デル・トロ映画としては、どこか“何かが足りない”印象も拭えませんでした。
人間同士のドロドロした関係も描かれてはいるのですが、どこかあっさりとした演出で、『ヘレディタリー』や『ミッドサマー』で感じたような、観ているこちらの内臓をジワッとえぐるような“気味悪さ”はあまり感じられず(意図的に抑えているのかもしれませんが)、そこが少し物足りなかったです。
クセの強い俳優陣が揃っている割に、作品全体としては意外と淡泊。決してつまらないわけではないのですが、観終えて残る感触は「面白かったけど、もう一押し欲しかったな」というものでした。
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