| クーデター |
あらすじ
南アジアのとある国に、支援事業のため妻と娘を伴い赴任したジャック。しかし翌朝、突如として「外国人を殺す。捕虜はとらない。皆殺しだ」の怒号が響き渡り、政府と外国人をターゲットとしたクーデターが勃発。暴徒による容赦なき殺戮が開始され、外国人は次々と殺されていく― 滞在ホテルを襲撃されたジャックは、迫り来る暴徒から妻子を守るため奔走し現地で出会ったハモンドの先導で間一髪逃げ延びるが、その先で絶望的な現実を突きつけられる―。理由も分からず標的となり、極限状況下で次々に迫られる究極の選択―。果たして彼らは、国境を越え逃げ切ることはできるのか? (出典:Amazon)
所感
期待は「アルゴ」、中身は別物
映画「クーデター」を観る前、正直なところほとんど前知識はなし。
なんとなく政治サスペンス、あるいは「アルゴ」系の実話ベース緊張感映画を想像して劇場へ。
| アルゴ |
……結果。
いい意味で、完全に裏切られました。
社会派?いいえ、これは全力エンタメ
物語の背景には
「大国と大企業が水道インフラを餌に途上国を食い物にする」
という、かなり生々しいテーマが用意されています。
このあたり、実在の巨大建設会社「ベクテル」を連想させる設定で、
一瞬「社会派映画かな?」と思わせるんですが──
その期待は、開始早々にぶん投げられます。
政治的メッセージはほぼ添え物。
中身はというと、
-
ゾンビ映画級のパニックホラー
-
逃げ場なしの追い詰められスリラー
-
そして「ダイ・ハード」的な家族脱出アクション
これらをミキサーにかけたような、
超ストレートな娯楽映画でした。
クーデター=即ゾンビシティ問題
舞台は架空の国……と言いつつ、
隣国として「ベトナム」の名前が普通に出てくるので、
「いや、場所的にカンボジアかラオスやん」
と、同じアジア人としては一瞬ツッコミたくなります。
そして、クーデターが始まった瞬間、
街は一気にゾンビシティ化。
民間人、豹変しすぎ問題。
正直
「クーデター起きたからって、ここまで町の空気変わらんやろ」
とは思います。
でもこれ、かなり意図的。
白人目線の「得体の知れなさ」という恐怖
本作の怖さは、
「クーデターそのもの」よりも
白人主人公の視点で描かれる、アジアの途上国の異物感にあります。
言ってしまえば、
アジアの途上国=何が起きるかわからない、怖い場所
という、かなり乱暴で、あえて差別的とも言える描写。
ただし、これは現実を描くためというより、
ホラー映画として恐怖を最大化するための装置。
そう割り切って観ると、
この映画の緊張感は一気に牙を剥いてきます。
とにかく、怖い。体が固まる。
上映中の体感はほぼこれ。
-
息が浅くなる
-
肩に力入りっぱなし
-
気づいたら体ガチガチ
派手なアクションよりも、
「いつ殺されるかわからない」
という持続的な恐怖がずっと続くタイプ。
派手さより、逃げ場のなさが怖い。
軽いうんちく:監督と主演のギャップ
ちなみに監督は
ジョン・エリック・ドゥードル(『デビル』『REC』英リメイク版脚本)。
低予算・閉鎖空間・追い詰め系を得意とする人で、
この映画の息苦しさは、完全に職人芸。
主演のオーウェン・ウィルソンも、
コメディのイメージをいい意味で裏切る
「普通のお父さんが地獄を見る役」がハマってます。
まとめ:これは覚悟して観るべき良作
社会派映画を期待すると肩透かし。
リアルな政治劇を求めると違和感。
でも、
-
逃げ場のない恐怖
-
家族を守るサバイバル
-
90分以上、緊張が切れない映画体験
これを求めるなら、間違いなく当たり。
細かいツッコミは一旦脇に置いて、
白人目線ホラーとして全力で身を委ねるのが正解。
とにかく怖い。
そして、ちゃんと面白い。
おすすめの一本です。
0 件のコメント :
コメントを投稿