作品紹介
予告
あらすじ
世界的に知られた製薬会社のカリスマ経営者ミシェルが、何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディと、彼を慕う従弟のドン。2人は彼女を自宅の地下室に監禁し、地球から手を引くよう要求してくる。ミシェルは彼らの馬鹿げた要望を一蹴し、なんとか言いくるめようとするが、互いに一歩も引かない駆け引きは二転三転する。やがてテディの隠された過去が明らかになることで、荒唐無稽な誘拐劇は予想外の方向へと転じていく。
所感
妄想か真実か、その先へ進む異色サスペンス「ブゴニア」
陰謀論者とエマ・ストーンが激突すると聞いて、面白くないわけがないと鑑賞。
結論から言うと、やっぱり面白い。
この作品、いわゆる「それは妄想なのか、それとも現実なのか?」というテーマを軸にした物語。
最近だとヒュー・グラントの怪演が光った「異端者の家」、少し前なら「シャッター アイランド」、個人的に大好きな「妄執」、邦画だと「美しい星」あたりが思い浮かぶジャンルです。
こういう作品って、総じて面白いのに派手さがない分どうしても知名度が上がりにくい。
「ブゴニア」も例に漏れず、上映期間がかなり短く、気づいたら終わっていたタイプの一本。
今回はたまたまリバイバル上映していた小劇場で観ることができましたが、この手の作品はむしろ劇場でじっくり観たいジャンルなので、巡り合わせに感謝です。
シンプルな構図から始まる不穏な物語
物語は非常にシンプル。
エマ・ストーン演じるやり手の女社長を、宇宙人だと信じ込んだどこか抜けた田舎の兄弟が誘拐し、尋問を繰り返すというもの。
設定だけ聞くとかなりトンデモ寄りですが、描き方は意外と地に足がついていて、むしろじわじわと不安が積み上がっていくタイプ。
そして焦点は当然、「兄弟の妄想なのか、それとも本当に彼女は宇宙人なのか」という一点に絞られます。
このジャンルに慣れている人なら、
ああこのパターンか、あるいは逆にこう裏切るか、
といった具合に、ある程度結末の方向性を想像しながら観ることになるはず。
既存の枠を一歩越える展開
このブゴニアが面白いのは、いわゆる「真相がどちらか」に決着がついたところで終わらない点。
普通ならそこで物語は幕を閉じるはずなのに、本作はさらにその先へと踏み込んでいきます。
この「その後」を描くことで、単なるどんでん返しの快感にとどまらず、じわじわと余韻が広がっていく構造になっているのが実に印象的。
観終わったあとに、あれは結局なんだったのかと考え続けてしまうタイプの作品です。
こういう転がし方、どこか星新一のショートショートを思い出させます。
一度オチで終わったかと思わせて、さらにもう一段ひっくり返してくるあの感覚。
短い中にもう一つ世界を忍ばせるような構造が、本作にも通じている気がしました。
元ネタは韓国映画という納得感
そしてちょっとしたうんちくとして、このブゴニア、元ネタは韓国映画「地球を守れ!」らしいです。
観ている最中、なんとなくボン・ジュノっぽい空気を感じて、あれ関わってるのかなと思って後で確認してみたんですが、直接の関係はなし。とはいえ「パラサイト」のスタッフが参加していると知って妙に納得。あの独特の温度感はやっぱりあそこにつながっていました。
韓国映画といえば、現実と妄想、あるいは社会風刺とジャンル映画を絶妙にブレンドするのが得意な国ですが、本作にもそのエッセンスがしっかり感じられます。
閉鎖空間での心理戦、どこかユーモラスでありながら不気味さをはらんだ人物造形、そして観客の解釈を揺さぶる構造。
このあたりはまさに韓国映画らしい持ち味で、ハリウッド的なわかりやすさとは一味違うクセがいい方向に出ています。
そのうえでエマ・ストーンという強い個性を持つ俳優を据えることで、作品全体のバランスをうまく取っているのもポイント。
リメイク作品として、単なる焼き直しではなく、韓国的なテイストを活かしつつきちんと再構築されている印象です(元ネタ「地球を守れ!」はまだ未鑑賞ですが(笑))。
地味だけど刺さる、好きな人にはたまらない一本
全体としてはやはり派手な作品ではありません。
ドンパチもなければ、分かりやすいカタルシスも控えめ。
ただ、その分じわじわと効いてくるタイプの映画で、
妄想と現実の境界が揺らぐあの独特の感覚が好きな人にはかなり刺さるはず。
知名度が低く、上映機会も限られているのがもったいない一本ですが、
こういう作品に出会えたときの満足感こそ映画鑑賞の醍醐味だなと改めて感じさせてくれる作品でした。
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