映画日記「ダークフェアリー」|新鋭トロイ・ニクシーが描く極上のゴシックホラー|(原題:Don't Be Afraid of the Dark)

「ギレルモ・デル・トロ」脚本のダークファンタジー「ダークフェアリー」
「ダークフェアリー」

「ギレルモ・デル・トロ」脚本の地味目なダークファンタジー「ダーク・フェアリー」見てきました!

作品紹介

予告


あらすじ

両親の離婚が原因で心に傷を負った少女サリー(ベイリー・マディソン)は、父親のアレックス(ガイ・ピアース)と彼の恋人キム(ケイティ・ホームズ)と共に郊外にある屋敷に移り住むことに。ある日サリーは封印されていた地下室を発見するが、そこにはえたいの知れない魔物がひそんでいた。そして地下室にあった小さい扉を開けてしまうが、それ以来屋敷では不可解な出来事が続発し、サリーを狙い闇の奥から魔物たちが迫ってきて……。シネマトゥデイより引用

所感

ギレルモ・デル・トロ監修!新鋭トロイ・ニクシーが描く極上のゴシックホラー

「パンズ・ラビリンス」で世界中の映画ファンを魅了した奇才「ギレルモ・デル・トロ」。彼が長年温めていた念願の企画を自らの脚本で映画化したのが本作です。

てっきりデル・トロ自身がメガホンを取ったのかと思いきや、監督を務めたのはトロイ・ニクシーという人物。映画界ではまだ名が知られていない初監督作品ですが、実は彼、アメコミ界ではバットマンシリーズなどを手がけた非常に有名なコミック作家という面白い経歴を持っています。この異色の才能を見出すあたり、いかにもデル・トロファミリーらしい人選と言えるでしょう。

本作はプロモーションにおいて恐怖を煽るホラー映画として宣伝されていますが、その本質はデル・トロ節が炸裂したクラシカルなダークファンタジーです。おどろおどろしいショッカー映画というよりは、美しくも不気味なゴシックホラーのテイストに仕上がっています。

歯を狙う妖精の恐怖!名作テレビ映画のリメイクに隠された緻密な心理戦

物語のベースとなっているのは、1970年代にアメリカで放送された伝説的なテレビ映画、「地下室の魔物」ということです。屋敷の地下に封印されていた何かが解き放たれ、住人を恐怖に陥れるという王道のプロットですが、その何かの正体がつい引き込まれるユニークな設定になっています。

劇中に登場するのは、おとぎ話でおなじみの妖精。しかし、ただの可愛い妖精ではありません。ヨーロッパの伝承に登場する、子供の抜けた乳歯をコインに変えてくれるトゥースフェアリー(歯の妖精)をモチーフにした、人間の歯を好物とする恐ろしい魔物なのです。

この映画の秀逸なポイントは、怪物が圧倒的なパワーで人間を蹂躙するのではない点にあります。人間よりもはるかに小さく非力な妖精たちは、知恵を絞って人間を騙し、ターゲットである子供を周囲から孤立させようと姑息な罠を仕掛けてきます。一見するとB級やC級に陥りがちな設定ですが、緻密な心理描写と演出によって、最後まで緊張感が途切れることなく一気に見せてくれます。

図書館の謎解きに興奮!ケイティ・ホームズが魅せる大人のダークファンタジー

物語の中盤、当時のトム・クルーズの妻としても話題を呼んだケイティ・ホームズ演じるキムが、館に隠された過去の凄惨な秘密へと迫っていくシークエンスは特に見応えがあります。

図書館で古い書物をひっくり返し、バラバラだった過去の事件の辻褄を合わせていく謎解きシーンは、まさにこの手のジャンル映画における最高の醍醐味と言えます。

それだけに、この知的でスリリングな探索パートが中盤の局所的な演出にとどまってしまったのは、少しもったいないと感じる部分でもあります。映画全体の構成として、こうした歴史や背景を紐解くミステリー要素がもっと前面に押し出され、シーンのボリューム自体も増えていれば、作品の知的なスリルとクオリティがもう一段上のステージへ引き上げられたのではないでしょうか。観客としても、もっとあのダークな謎に深く没入したかったというのが本音です。

総評:恐怖よりも美しさに酔いしれる、ダークファンタジーの隠れた佳作

純粋に飛び上がるようなショック演出や、血飛沫が舞うような恐怖を求めるホラーマニアにとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。しかし、本作の本質はそこにはありません。

ギレルモ・デル・トロ作品に脈々と流れる、不気味でありながらもどこか哀愁を帯びた美しい世界観にどっぷりと浸りたい人にとっては、細部までこだわり抜かれた美術や造形も含めて、十分に期待に応えてくれる一作です。

万人受けする大ヒット作とは言えないまでも、ダークファンタジー好きの棚にそっと並べておきたくなるような、不思議な魅力を放つ隠れた良作・佳作と言えます。




蛇足一本

ということでついでに蛇足紹介する映画は
冒頭でも述べた「パンズ・ラビリンス」。

ギレルモ・デル・トロが、全面に自分テイストを押し出しいる
(と僕は勝手に解釈してます)作品で、好きな作品のひとつです。

内戦後のスペインに生きる、不遇な境遇の少女のお話で。
現実世界のつらさから、おとぎ話の世界に逃げ込んだ彼女が
ギリシア神話の亜神、「パン」から、自分は妖精の王女だと告げられる。
そして、その世界に戻るためには、
森の奥にある迷宮(パンズ・ラビリンス)で3つの試練を果たす必要があり
現実世界と、妖精世界(妄想?)をいききしながら足を踏み入れていく。

という話なで、一瞬よくあるファンタジーの導入みたいですが
そうはいかないのが、デルトロ。

出てくるキャラたちが、ペイルマンを始め
デルトロテイストバリバリでほぼ不気味なこともありますが、
ペイルマン
こんなんでましたけどーの「ペイルマン」
一番ダークたる部分は、なによりこのパンズ・ラビリンス自体が
本当にあるのか、彼女の妄想なのか、
あやふやなままお話が進行することでしょう。

妄想か現実か、この解釈で
バッドエンドともハッピーエンドともとれるこの作品。

ダークファンタジー好きでみていなければ、オススメです。

0 件のコメント :

コメントを投稿